所有者が認知症になった!車の売却や名義変更をどう進めるべきか?

「父が認知症になり運転をやめたので車を売りたいが、名義が父のまま……」 「認知症の家族の車を廃車にしたいが、印鑑証明書が取れなくて困っている」
超高齢社会において、このようなご相談が急増しています。車は大切な「財産」であるため、たとえ家族であっても勝手に売却や名義変更を行うことはできません。特に認知症によって本人の意思能力(判断能力)が不十分な場合、通常の手続きルートが閉ざされてしまいます。
今回は、認知症の方が所有者である場合の車の取り扱いと、法的に正しい解決策を解説します。


1. なぜ「認知症」だと手続きが止まってしまうのか?

自動車の名義変更(移転登録)や売却には、以下の2つが必要です。

  1. 本人の実印による譲渡証明書・委任状への押印
  2. 発行から3ヶ月以内の印鑑証明書

認知症が進行し、本人が「車を売る」という行為の意味を理解できなくなると、法律上は契約自体が無効となります。また、本人が役所へ行けない、あるいは代理人に委任する意思表示ができない場合、新しい印鑑証明書を取得することさえできなくなります。


2. 解決策:成年後見制度(せいねんこうけんせいど)の活用

本人の判断能力が不十分な場合、家庭裁判所に申し立てて「成年後見人」を選任してもらう必要があります。

後見人が選任された場合の手続き

後見人が選ばれると、後見人が本人(被後見人)に代わって車の売却や廃車の手続きを行うことができます。

【必要書類の変化】

  • 印鑑証明書: 本人のものではなく、「後見人の印鑑証明書」を使用します。
  • 登記事項証明書: 後見人であることを証明するために、法務局で発行される書類を添付します。
  • 裁判所の許可(※注意): 基本的に車は「居住用不動産」ではないため、裁判所の許可なく後見人の判断で売却可能ですが、高額な車両や特殊な事情がある場合は、事前に裁判所(または後見監督人)への相談が必要になることがあります。

3. 「とりあえず家族の判断で」はNG!3つのリスク

「まだ初期だし、印鑑証明書のカードも預かっているから、勝手に進めても大丈夫だろう」という考えは非常に危険です。

  1. 公文書偽造・不正登録の疑い: 本人の意思がないのに書類を作成すると、最悪の場合、有印私文書偽造などの罪に問われる可能性があります。
  2. 親族間トラブル: 後で他の相続人(親戚など)から「勝手に資産を処分した」と責められ、遺産分割の際に大きな争いに発展するリスクがあります。
  3. 買取業者の拒否: 大手の買取業者はコンプライアンスを重視するため、本人の意思確認ができない(返答があやふや)と判断した時点で、契約を拒否されることがほとんどです。

4. まだ判断能力があるうちにできること:家族信託と生前贈与

もし、認知症の兆候はあるものの、まだ「自分の意思で契約ができる」状態であれば、早めの対策が可能です。

  • 生前贈与(名義変更): 元気なうちに、車を家族の名義に変えておきます。これにより、将来判断能力が低下しても、家族の意思で売却や廃車ができるようになります。
  • 任意後見契約: 将来に備えて、あらかじめ後見人を指名しておく契約です。

5. 行政書士がサポートできること

認知症が絡む自動車手続きは、ご家族だけで判断すると取り返しのつかないミスに繋がることがあります。

  • 意思能力の確認とアドバイス: 現状のままで手続きが可能か、それとも後見制度を利用すべきかを法律的視点からアドバイスします。
  • 専門家ネットワークの活用: 成年後見の申し立てが必要な場合、提携する弁護士や司法書士と連携し、スムーズな解決を図ります。
  • 複雑な書類作成: 後見人が選任された後の、運輸支局への特殊な移転登録手続きを一括して代行します。

まとめ:維持費が家計を圧迫する前に

認知症で乗らなくなった車を放置していると、自動車税や保険料、駐車代といった維持費が本人の財産を削り続けてしまいます。
「どう手続きしていいか分からず、何年も放置している……」 「本人の状態から見て、売却ができるか判断してほしい」
そのようなお悩みは、一人で抱え込まずにぜひ当事務所へご相談ください。 ご本人とご家族にとって最も負担が少なく、かつ法的にクリーンな解決策を一緒に考え、お手伝いいたします。

「自動車のページを見た」とお伝えください。ご相談は無料です。070-8490-7268受付時間 8:00-20:00 [ 土日祝日も対応 ]

郵送・連絡先

この記事を書いた人

行政書士古川俊輔
行政書士古川俊輔
自動車専門の行政書士
埼玉県で地域密着対応
平成生まれの若さを活かしたフットワークの軽さが強み
迅速・丁寧・確実な許認可サポート